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時代は電脳暦(VC)へと更新された。

人類の生活圏は地球に留まらず、その周囲、月にまで及んでいる。
これらを総称して地球圏と呼ぶ。
火星以遠の惑星への進出も試みられてはいるが、芳しいものではない。
人々は自らの可能性の限界に屈し、
意識的にせよ無意識的にせよ、有限の世界に生きる運命を受け容れていた。

枠組みとしての旧来の国家は解体が進み、
ネットワークの断続によって一時的な実効性をもつ企業国家の機能性に依存する社会が生まれている。
また電脳暦草創期において伝説的成功を収めた幾ばくかの家系や人々の中には、
ある種の超法規的特権階級オーバーロード(Overload)に属するものがある。

限定戦争 One-Man Rescueは、電脳暦(VC)の地球圏を舞台にした、バーチャロイド(VR)と呼ばれる人型戦闘兵器を巡る人々の抗争の物語である。

オペレーション・ムーンゲート(VCa0年)とオラトリオ・タングラム(VCa4年)という二大事件を結ぶ時の流れの中間点、VCa2年にあって、極めて特殊な限定戦争が勃発した。かつてオーストラリアと呼ばれた大陸の残滓、「テラ・アウストラリス・インコグニタ(TAI)」において、VRを保有する唯一の軍事組織であるDNAが、謎のVR戦隊RNAと遭遇、大規模なVR同士の戦闘が生起したのである。

当時、第3戦区に集結していた部隊も戦闘にまきこまれ、混乱に陥った。
SHBVDのミミー・サルペン准尉は、DNAの硬直した対応に業を煮やして独自に行動を開始、RNAを迎撃する。奮闘の末、辛くも撃退に成功した彼女ではあったが、その勝利は大きな犠牲を伴うものだった。

TAIでの戦闘は、それまで兵器として存在意義を疑問視されていたVRは、一気に脚光を浴びる。そしてこれが引き金となり、地球圏の歴史は一つの転機を迎えた。


  • 限定戦争
    爛熟と停滞に淀む社会は、戦争放棄の建前とは裏腹に、限定戦争という危険な玩具を生み出した。この特異なシステムが持つ様々な側面、たとえば経済活性化、 文化的刺激、政治的パフォーマンス、果ては単なる慰みもの、といった要素が称揚される一方、その負の側面について省みられることはなかった。

    限定戦争においては、国際戦争公司などの業者が管理する専用地が用いられ、DNAなど、専門の軍事組織が戦闘に従事する。そこでは効率性のみを追求 することは評価につながらず、「戦い」のダイナミズムを体現する祝祭としての娯楽性が求められた。人は死を前にして際立つ生をもってのみ、それを認識す る。限定戦争がビジュアル・エンターテインメント・ビジネスとしてその立ち位置を確立したのは、時代の必然だった。
    人々は、モニター越しの戦争を傍観する。ガジェットと化したプロパガンダや理念を謳い、スキャンダラスな扇動に打ち興じ、あるいは単に破壊と殺戮への渇きを癒す。そして一瞬の昂ぶりのなかに命を錯覚する。 電脳暦地球圏年表
    関連事項:Vプロジェクト
    段階的な試験運用を経て、VRが兵器として実用にかなうものと確信をもったDN社は、これを大々的に売り出すべく計画を立案する。Vプロジェクトと名づけられたそれは、統括責任者にオーバーロードのアンベルⅣを据え、VCa0年販売開始を目標に着々と準備が進められた。
    しかしこのような流れの中、DN社が一枚岩であったかというと決してそうではなく、特にVRの安全性について問題を指摘する声は多かった。バーチャロン現象の精神干渉作用からVRの搭乗者を保護するリミッターは常に槍玉に上がり、技術的限界が糾弾された。実際、これが原因で発生するシャドウ化VRの暴走現象は、極めて危険なものだったのである。Vプロジェクトは、その巨大な利権に群がるもの、あぶれたもの、両者の確執を増幅させ、結果的にはDN社を内部崩壊へと導く遠因とさえなった。
  • 関連事項:ムーンゲートとオーバーテクノロジー(OT)
    電脳暦(VC)84年、企業国家の一つであるダイナテック&ノヴァ社(DN社)は、月面における自社再整備区画79号内にある廃坑最深部を探査中、謎の遺構「ムーンゲート」を発見した。巨大な円筒状の物体が人間の手によるものではないことは明らかで、技術レベルは人類のそれを超越していた。DN社は極秘裏に発掘調査を開始し、間もなく、遺跡最深部でVクリスタル(ムーンクリスタル)と呼ばれる巨大な八面構造の結晶体を見出した。

    様々なアプローチが試みられたにも関わらず、ムーンゲートの機能や造営目的について完全な理解に達することはついになかった。だがその研究過程において、特にVクリスタルに関しては多くの興味深い知見が得られた。この結晶体は、人間の精神を触媒として活性状態に移行する。その際「バーチャロン現象」と呼ばれる精神干渉作用を及ぼし、適性のない者に対して障害をもたらすが、その一方で、電脳虚数空間(CIS)への往来を可能とする特異点「ゲートフィールド」を形成する機能を有していた。Vクリスタルには、様々な技術的革新を現実のものとする可能性が秘められていたのである。
    関連事項:バーチャロイドの誕生
    残念ながらVクリスタルそのものを制御することはかなわず、また試行錯誤の過程において多くの人的損失があった。だが、なかば偶然の産物としてスピンアウトしたリバース・コンバートの実用化が、思わぬ成果をもたらす。
    巨大人型兵器「バーチャロイド」の誕生である。

    Vディスクに適切な情報を付加して組みこむと、Vコンバータはそれに対応する物体を自らの周囲に実体化させる。これがリバース・コンバートの基本シーケンスである。制御OSのMSBSが巨大人型兵器専用に極限まで最適化されていたため、実際に取り扱えるのはその範疇に留まるものに限定されたが、それはそれで大きな意味があった。

    VC70年代、電脳暦にふさわしい新しいコンセプトに基づく商用兵器開発の一環として、DN社は巨大人型ロボット兵器の実用化を目指し、全社をあげて意欲的に取り組んでいた。XMUプロジェクトと呼ばれたそれは、限定戦争がもつビジュアル・エンターテインメント・ビジネスとしての側面から、新規市場創出をもくろむ野心的なものだったが、完成形をみることなく頓挫した。そもそも大型兵器に人の形状をあてがうのは、効率的とは言いがたい。もとより、70年代当時の技術レベルでは望むべくもなかった。ところがムーンゲート由来のオーバーテクノロジーが、それを可能とした。Vクリスタルのコピー・プロダクツとしての一面をもつVコンバータは、MSBSを介して人の意識を取りこんでいく。巨大人型兵器の切望という妄執を物理的制約から解き放ち、仮初めの姿として現実に結像させたとき、人はそれをバーチャロイド(VR)と呼んだのだった。


  • OMG/オペレーションムーンゲート
    VCa0年0時0分、地球圏は未曾有の危機に陥る。 地球で新たに発見されたVクリスタル「アースクリスタル」の影響圏内に進入したDNAのVR部隊による不用意な活動のため、アースクリスタル・ムーンクリスタル間に一時的な接続が発生した。これがトリガーとなって月面遺跡ムーンゲートが覚醒、「太陽砲」とも呼ばれる超絶的重力制御シーケンスが起動する。放置すれば、地球圏そのものが一種の砲弾として太陽系外に射出されてしまう。

    VRを開発していたDN社は批判の矢面に立たされ、しかしVプロジェクト責任者のアンベルⅣは行方をくらましていた。

    事態の打開には覚醒したムーンゲートの鎮静が必須だが、結界内に突入できるのはOTを身にまとうVRのみ。ところが遺跡の自動防衛システムによるハッキングのため、大部分のVRは満足に動作しない。 混乱する状況下、限られた少数のVRをもってムーンゲートへの突入を企図するプランが立案され、実行に移された。これが「オペレーション・ムーンゲート(OMG)」である。 限定戦争 限定戦争
  • 関連事項:フレッシュ・リフォー台頭
    多分に幸運の要素が強かったものの、結果的にOMGは成功裏に終わり、ムーンゲートは休眠状態へと回帰した。しかし騒乱のあおりをうけてDN社はあえなく崩壊、傘下にあった8大プラントは企業国家として独立する。互いに覇権を競い合う中、台頭してきたのは第8プラント「フレッシュ・リフォー(FR-08)」である。盟主トリストラム・リフォーはVRの開発を禁じる等、それまでのDN社の方針を覆し、またその高圧的なやり方が周囲の反感をかった。

    一方、DN社の後ろ盾を失い厳しい経営を強いられていたDNAは、新たな難題に直面する。所属のVR部隊が、自らをRNAと称する謎の敵からの攻勢を受け、手痛い損害を被ったのだ。RNAは、第2世代型と呼ばれる一連の最新鋭VRをもって、DNA側を文字通り蹂躙した。
    OMG/オペレーションムーンゲート 出 典
    ■1995年:電脳戦機バーチャロン
    ©SEGA 1995

    1995年、3次元仮想空間内で巨大ロボットを自由自在に操る快感を教えてくれた、初代「電脳戦機バーチャロン」。
    世界観、キャラクター、通信対戦、ツインスティックによる操作方法など、どれをとっても全てが新鮮でかつ魅力的な作品であった。
    今日に続く長大なバーチャロンサーガの原点。僕らが本当に待ち望んでいたゲームがここにあった。通称OMG。
    ■ARCADE / SEGA SATURN / Windows / PlayStation 2


  • 関連事項:SHBVDとは?
    shbvd 第1世代型機の傑作重戦闘VR、HBV-05ライデンを専門的に運用する部隊。本編のヒロイン、ミミー・サルペン准尉が所属している。その前身は、DNA傘下の時代にエリート部隊として厚遇された特殊重戦闘VR大隊である。同隊は編成当時から隊員同士の結束力が強いことで有名で、かつ士気も高く、しばしば戦力以上の戦果をあげて勇名を馳せてきた。しかしOMG以降、DN社が解体して第8プラント「フレッシュリ・フォー」が台頭するようになってからは一方的に冷遇されるようになった。VCa1年にはDNA体制から外され、同時に部隊名もSHBVDと改称した。
    主力機HBV-05の補充が絶たれているため、現有機数はわずか7機にすぎず、かつてのエリート部隊もいまやその面影はない。
    関連事項:DNAとは?
    dna VC90年代に発展した、VRを保有するDN社傘下の軍事組織。
    限定戦争は、締結された契約内容に基づき、隔離された専用地域で戦闘興行として開催される。ビジュアル・エンタテインメントとして重宝されたため派手な戦闘が歓迎され、市場の需要をあてこんで巨大人型戦闘兵器VRが開発されたわけだが、VCa0年のOMG後に状況が激変。DN社は倒産、辛うじて存続が認められたDNAも現時点では十分な認知度が得られず、経営状態は厳しい。それでもVCa2年、国際戦争公司との共催でTAIでの戦闘興行にこぎつけたが、そこで待っていたのはRNAによる襲撃だった。
    関連事項:エンゲージメントとは? NEW!
    特殊重戦闘VR大隊、そしてその後SHBVDでも運用されたパイロット育成システム。特定の機体の専属パイロットと、その後任候補として選抜された者とが「エンゲージメント」を交わし、マンツーマンでの指導を行なう。
    エンゲージメントを交わした2人は深い精神的絆を築くことが多く、習慣的に、親子関係、あるいは兄弟姉妹のような立ち位置で互いを呼ぶようになる。このような関係性を維持することは、プログラムの進行上概ね良好な影響を及ぼした。
  • 関連事項:RNAとは?
    rna 謎のVR部隊。
    VCa2年、前触れもなく出現した彼らのVRは衝撃的な存在だった。DNAの旧型機を圧倒し、我が物顔で戦場を疾駆する機体は、畏敬の念をこめて第2世代型と呼ばれた。その外形からMBV-09(旧型アファームド)のコンセプトを継承していることは明らかだったが、DNA側の旧態依然としたものとはあらゆる面で隔世の感があったのである。
    RNAは戦闘への偏執的なこだわりを見せ、時に狂戦士と見まごうばかりの苛烈な戦いぶりをみせた。また、当時は知る者の少なかった時空因果律制御機構タングラムの存在を暴露する等、活動の多面性が特徴だった。
    関連事項:国際戦争公司とは?
    限定戦争を主催する最大手企業で、略称は国戦公司。前身は、限定戦争の開催に際して顧客の要求に見合った戦闘エリア(Rentarea:レンタリア)を手配する不動産業者である。その後、保険業や兵器等のリース&レンタル業にも精力的に進出、業界最大のシェアを獲得した。ちなみに物語の舞台のTAIは、前暦の大戦で不毛の大地と化したオーストラリア大陸を買いたたいた国戦公司が、レンタリアとして再整備したものである。
    関連事項:フレッシュ・リフォーとは?
    代々、リフォー家の人間が中核となって運営してきた巨大企業で、主に投機関連に重点をおいた金融業を手がけている。DN社の傘下にあるときは、その資産運用を一手に担い、莫大な富を手にした。OMG以後、DN社の支配体制が瓦解してからは、地球圏を席巻する有力企業国家として君臨するようになった。DNAに対しては、経営基盤の脆弱な点につけこみ、事あるごとに業務に介入している。しかし、彼らが限定戦争市場にどのようなビジネスチャンスを見いだしているのか、現時点では不明である。